3.バンコク死体博物館と昆虫料理とボート

バンコク死体博物館へ

バンコク3日目の朝。
別々の宿に泊まっていたM君、Bさんと合流。
屋台で朝食。タイ風焼きそば、20バーツ(当時のレートで80円弱)。

今晩は3人で泊まることになった。
割り勘にすれば安上がりだろうとのことで、エアコンとホットシャワー付きトリプリベッドルームを探す。
トリプルはなかったが、ツインにエキストラベッドを入れれば泊まれる部屋が見つかった。
一泊650バーツ。一人850円ほど。安い。
ふかふかで清潔なベッドがとてつもなく贅沢に感じた。
ホテル名を記録に残していないけど、おそらく「D&D」だったはず。
カオサン通りの中ほどにあって、立地条件は抜群だ。

D&Dカオサン
D&Dイン

小休止後、外出。
まず、チャオプラヤー川を船で対岸へ渡る。
船乗り場まではカオサンから徒歩で行ける。
せまい路地を抜けて、乗り場まで。
渡し船代は1バーツ。
すぐに対岸へ到着。

下船後、向かったのは病院。
病気になったわけではない。バンコクの観光名所となっている「死体博物館」に向かうのだ。現在でも人気があるかはわからないが、当時の日本人旅行者のあいだでは妙に人気があった。
場所はシリラート病院の一角にある。
病院自体は渡し船を降りてすぐのところにある。が、肝心の死体博物館の場所はかなりわかりづらい。

死体博物館と一くくりにしたけれども、実際には解剖学博物館と法医学博物館(通称・シーウィー)の二つがある。どちらも同じシリラート病院の敷地内にあるが、棟は別々だ。

まずは、解剖学博物館へ。
観光客向けの案内板が張ってあるので、迷いながらも何とか到着。

地図
シーウィー地図

本来は研究室なので、それほど広くない。せまい部屋の中に、これでもかと人体の標本やホルマリン漬けになった赤ん坊が展示されている。
無造作に並べられているだけに有無を言わせぬ圧倒的迫力。
さすがに写真を撮る気にはなれなかった。

続いて、二つ目の法医学博物館(シーウィー)へ向かう。
別の棟なので、一度外に出てから探す。
が、なかなか到達せず。
なぜかスラム街のような場所に迷いこむ。
ゴミが山積みされ、掘っ立て小屋のような家が並んでいるエリア。異臭がたちこめ、呼吸をするのも辛いほど。
大病院のすぐ裏手だとは思えないような環境だった。

苦労の末、なんとか法医学博物館(シーウィー)へたどり着くことができた。
ちなみに、シーウィーとは、何人もの幼児を連れ去って殺害した上、臓器を食べてしまったというタイ史上最も凶悪な殺人犯。
そんな男を標本として飾り、人々に公開しているわけだ。
まあなんというか、あっけらかんとしたタイ人らしい。
画像は「シーウィー」で検索すれば山ほど出てくるので、興味のある人はのぞいてみてほしい。シーウィーの標本自体はあまりグロくないのでご安心を。
ちなみに何人かのタイ人に聞いてみると、たいていのタイ人はシーウィーを知っていた
やはり有名人のようだ。
シーウィーの他にも、犯罪関連の遺体や骨が展示されていて、かなりのインパクト。

で、展示室にいつの間にか二人の子どもが現れた。小学生低学年くらいだろうか。
こちらが日本人だとわかると、急にドラえもんの主題歌を歌い出す。タイでもドラえもんは大人気だ。ちゃんと日本語で歌っている。
連続幼児殺害犯の死体を展示している横で無邪気にドラえもんを歌うこどもたち。とってもシュールな光景である。
合唱するよう促されたので、一緒に歌う。
1コーラス歌いきると子どもたちは大喜び。
日タイ交流の懸け橋となったのは、ドラえもんとシーウィーであった。
シーウィーもさぞびっくりしていることだろう。

ボートミュージアムへ

病院の廊下で暇そうに座っていた軍服姿の男にボートミュージアムをすすめられる。
死体のあとはボートか。
このまま流されてしまいそうだ。
ぼったくり施設だと怖いので念のためガイドブックで調べてみると、王室御座船置場とたしかに書いてある。安心して向かうことにした。
が、さんざん迷う。
王室用なのに、とてもわかりにくい。
途中、タイ名物昆虫料理の屋台に出くわす。
昆虫料理
おお、テレビの旅番組でよく芸人が食べさせられているやつだ。
カラッと揚がっている。

タイの昆虫料理について
カオサン通りではあまり見かけない。
観光地では、観光客相手の商売人相手に虫料理屋台が出ていることが多い。
元々はタイ東北地方(イサーン)でよく食べられていたもの。
海から遠く、貧しい地域においては貴重なタンパク源であった。日本でも事情は同じだろう。信州などの山あいの地域ではタンパク源として重宝されてきた。
調理される種類。
バッタ
コオロギ
タガメ
さそり
かいこのさなぎ
幼虫
赤蟻のたまご
基本的には甘辛いタレで味付けしてから、油で素揚げにするか鍋で炒める。あとはお好みで胡椒をふりかけて食べる。
この中でわたしが食べたことがあるのは、バッタとコオロギ。
虫の味はあまりしない。甘辛いタレの味ばかりだ。
バッタはパリッとした食感が、人によっては癖になるそうだ。虫だと思わなければ、特に問題のない味。
ただ、バッタの足が歯に引っかかるので食べてからが面倒くさい。口に入れる前に足を取り外しておいたほうがいいかも。
いや、そもそも別に無理して食べるほどのものじゃないけど。
注文の仕方は、食材を指さすだけでオッケー。一応値段を聞いておこう。どれも一袋20バーツが相場。
タガメは少し高め。サソリはあまり置いていないが、かなり高い。
いや、だから、無理に食べなくても。
油とタレと胡椒まみれなので、実際のところは体にあまり良くない。タンパク質なら他で摂取できる。タイ保健省が「食べすぎに注意するように」とわざわざ注意喚起を出したほどだ。
欧米人にはとても面妖にうつるようで、観光客が昆虫料理屋台の写真を熱心に撮影している。屋台によっては「PHOTO 20B」とちゃっかりチップを要求している。
最近、タイに激増しているロシア人観光客は怖いもの知らずなのか、単なる酔っ払いなのか、実際に購入して食べている。仲間同士でビールを飲みながら、ぱくり。写真もぱちり。ロシアンパワーおそるべし。

さんざん迷ったあげく、ようやくボートミュージアムに到着。
王室御座船置場と呼ばれるだけあって、王室御用達のボートが陳列されている。華麗な装飾が見どころだ。入場料は10バーツ。
客はゼロ。こんなわかりにくいところにあったら誰も来ない。
展示順路にそって進んでいくと、最後は実際に稼働中のボート置き場へ誘導される。
そこで待ち構えているのが、「ヘイ、ボートでクルーズしないか」という勧誘。
もちろん王室用ではないけれど、普通のエンジン付きのボートでバンコクの運河を周遊できるそうだ。
値段を聞くと高かったので、まけさせて一人150バーツに。600円ほどか。
高いような安いような微妙な金額。当時は安いと思ったが、今振り返ってみれば、たぶんまだ高い。

エンジン音はちょっとうるさいが、その分スピードは出る。
風を切って運河を疾走すると気持ち良い。
川沿いに建つ寺院が見える。

ボート

たまに操舵させてくれたりもする。大丈夫か?
しかしながら、運河は生活に使われているだけあって、とても濁っている。
運河沿いには、ところどころにバラックが立ち並び、この汚い川の上にも生活があることを教えてくれる。
この川で洗濯をし、食器を洗い、子どもたちは泳いで遊んでいるのだ。
病院の裏手のスラム街ともどもバンコクの裏の顔を垣間見た気がする。大繁栄の裏には、まだまだ貧困が潜んでいる。
これは現在でも大きくは変わらない。クロントイ地区ほか、巨大なスラムがバンコクにはまだまだ多く残されている。
船頭さんに小額のチップを渡して、ボートを降りる。チップは正直、もっとくれとうるさかったが、貧乏パッカーでしかも大阪出身3人衆だ、値切りに値切った。一人10バーツ。せこいなあ。

ワット・ポーで雨宿り

紅一点のBさんが、まだワット・ポーを見学していないとのことで、カオサンへの帰り道に立ち寄ることにした。
時間が遅かったのでもう閉門。
ちなみにワット・ポー周辺には、本当はオープンしているのに「今日はクローズだ。入れない。別の寺へ行け」と嘘をついて誘導し、シルクショップなどに連れて行こうとする客引きがいるので要注意。
この時は本当にクローズ。開門は夕方5時までだった。
しょうがないのでカオサンに戻ろうとしたが、突然の大雨。
おお、これが南国特有のスコールというやつか。
急いでもしかたない。
寺の軒先で雨宿り。
他の日本人旅行者や現地タイ人と楽しくおしゃべりして時間をつぶす。
のんびり行こう。

某日系自動車メーカーで働いているというタイ人から食事に誘われる。おいしいレストランがあるんだ、支払いは割り勘にしようとの提案。
わたしはこれも何かの縁だと乗り気だったが、旅慣れているM君は「どうも怪しいのでやめておこう」と。
なるほど。どこに罠が仕組まれているかわかったものじゃないしね。
このあたりはさじ加減が非常に難しい。
疑心暗鬼になってハリネズミのようになっていては、周囲と交流できずに楽しめないし、かといって能天気にほいほいと付いていったら身ぐるみはがされることになりかねない。
適度な距離感が難しい。
一つ言えることは、妙になれなれしい日本語を使ったり、安易に日本の企業名を出す人間は怪しいと思うこと。東南アジアやインドを旅行していると、このことが痛いほどわかってくる。
でも、中には本当に親日家で優しい人もいるから、ややこしいんだよなあ。

カオサンに戻る

1時間ほどで嘘のように雨はぴたりと止んだ。
南国の雨はさっぱりしていて、わかりやすい。
カオサンに戻り、夕食とビールをはしご。
楽しい時間を過ごす。

それにしても、この当時、カオサンに日本人が多かった。もちろんメインは欧米人とイスラエル人なのだが、アジア人の旅行者は日本人ばかりだったから、いやでも目に付いた。
現在では韓国や中国の個人旅行者が増えてきたが、この頃はほとんどいなかった。
カオサンを歩けば日本人にぶつかる状態。あちこちで日本語が聞こえた。

もちろん、今でもそれなりの人数の日本人がカオサンに滞在しているはずだが、観光客全体に対する割合はかなり減少しているはずだ。
また、現在のカオサン周辺は、ディスコやタイ風パブが多く建設され、地元タイの若者の間でちょっとしたお洒落スポットになっている。
カオサン通りから一歩出れば、ディスコがすぐに見つかるだろう。週末ともなれば、夜中でもタイ人たちでにぎわっている。もちろん、欧米の若い旅行者たちもディスコで遊んでいる。

さて、この日も無事に終了。
三日ぶりにホットシャワーを浴びる。

いくら南国とはいえ、やはり日本人には熱い湯を浴びるのが一番。さっぱりした。
「今日はいろんな人と話ができた。旅は人と人との出会いが楽しい。」とさわやか健全系丸出しの文章で日記は締めくくられている。歯が浮きそうで恥ずかしいが、まあ実際そうだったんだからいいんじゃないの。

↓↓カオサン通りのホテルをチェック↓↓
Agoda

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