18 ブダペストからブラショフへ夜行列車の旅

2012年8月 ドイツからトルコ横断18

ブダペストからブラショフへの寝台列車

さて、ブダペストからルーマニアの古都ブラショフへ夜行列車での移動。

列車はブダペスト発ルーマニアの首都ブカレスト行きである。これを途中下車することになる。
一等寝台は4人用。2段ベッドが二つ。二等とは違い中段ベッドがないので、狭苦しさは感じない。

ブダペストからプラハ 117.jpg

同室の乗客は二人。どちらもルーマニア人。40過ぎくらいの女性と、20歳くらいの若い小太り男。
二人の関係は不明。親子じゃなさそうだし、恋人でもない。よくわからん。

すぐに打ち解けて会話をするようになった。
女性のほうは、頻繁に海外に出稼ぎに行ってるようで、英語もうまい。最近までイラクで働いていたようだ。場数を踏んでいる雰囲気が顔からにじみ出ている。

20歳くらいに見える男は、童顔で若く見えるけど実は26歳なんだと自分から告白。英語もとても上手。大学で勉強したらしい。
日本にすごく関心があるようで、いろいろ聞いてくる。日本語って縦にも横にも書くんだろ、とか妙に詳しい。日本語勉強したいけど、時間がないなあと言っていた。日本のテレビゲームも大好きで、RPGよりもサッカーゲーム派らしい。

車掌の巡回があった。切符は一度回収されてしまう。クラコフからプラハまでの夜行列車と同じパターン。下車前に切符を返してくれた。
車掌は英語が苦手と言っていたが、説明はちゃんとしていた。やさしそうなおじさんだ。

会話がとぎれると、本を読んだりもする。
このヨーロッパ旅行中の愛読書は、「吸血鬼ドラキュラ」だった。ブラム・ストーカーによるホラー小説の金字塔。ずっと読まずにいたのだが、この旅行にぴったりだと思い、持参していた。

そのことを告げると、二人は反応を示した。
いろいろと解説してくれる。フィクションのドラキュラと、実在したドラキュラ伯爵(ヴラド・ツェペシ)とはまったくの別物だよ、と強調していた。やはり、同一視されるのはルーマニア国民としては嫌なようだ。
まあ、日本でいえば「武田信玄は吸血鬼で、夜な夜な美女の生き血を吸っている」とかみたいなものか。違うか。

古典中の古典。重厚な構成と文体とで読むのに時間がかかる。荷物が軽くて済むので、読書好きの旅のお供にぴったり。

そうこうしているうちに、列車はどんどん進む。
ブダペストを出発した時はまだ明るさも少し残っていたが、次第に窓の外は闇に包まれ始め、じきに真っ暗となった。ぽつりぽつりと遠くに民家らしき灯りが見える程度。かなり田舎のようだ。
車掌の話では、もう一人乗客が来るとのことだが、一向に現れる気配はない。最後まで3人のままだった。
ブダペストで買っておいたサンドイッチなどで夜食をとる。ルーマニア人コンビは、食堂車に食べに行っていた。

そろそろ眠る時間だ。
車掌の待機所に出向いて、リネン一式をもらう。この列車では自分で取りに行くスタイルだった。
廊下に置いてあるハシゴを持ちこんでセット。上段にのぼり、ベッドを整える。
さすがに一等寝台だけあり、ベッドも広めで快適。
下段ベッドの二人も眠りについたようだ。おやすみなさい。

国境通過ルーマニア入国

・・・・夜中に、甲高いブレーキ音を発しながら、列車は停車。
にわかに車内はざわざわし始める。どうやら国境についたらしい。パスポートチェックだ。
全員強制起床。眠いよ。

まず出国側であるハンガリーのイミグレーション職員がやって来る。
そう言えば、ドイツ入国以来初のパスポートチェックだ。シェンゲン協定適用国はここで終了というわけか。
出国スタンプを押してもらうだけ。これはすぐ終わる。

乗客全員分が終了して、列車は動きだす。でもちょろっと動いて、すぐに停車。今度は入国側のルーマニアの検査がある。
いかつい表情のルーマニア職員の巡回。腰には拳銃のようなものが。ちょっとおっかない。どこへ行くんだとか、軽い質問を受けるだけで内心びびる。列車で国境越えなぞ、日本ではありえないので何度やっても慣れないものだ。しかも東欧、旧共産圏の無機質なイメージ。

「えーっとブラショフまで行って、それから、えーえー」としどろもどろに返事していたら、ルーマニア人コンビが助け舟を出してくれて何やら代わりに答えていた。ありがたい。

昔バルカン半島を縦断した時のことを思い出す。ユーゴスラビアからマケドニアへの夜行列車は、生きた心地がしなかった。ミルコ・クロコップのような体格と冷たい目をした軍服姿の男がパスポートチェックしていたっけ。同じコンパートメントにいたマケドニア人のおじさんが、いろいろ面倒を見てくれた。

こういう時、地元のやさしい人がいると心強い。
まあ日本のパスポート保持者が何か問題になることなんて、まずありえないんだけど。黙って「観光です」と答えておけばよい。

無事にルーマニア入国スタンプを押してもらう。
これで7カ国目突入。でもスタンプは2個目。シェンゲン協定は便利だが、スタンプコレクターとしてはちょっと悲しい。

パスポートチェックを終えてからも、なかなか列車は動かない。
ドアは開いているが、下車することは許されないので、じっと待つ。
そのうちようやく列車は動きだした。国境で一時間近く足止めを食ったことになる。
これでもう安心。もう一度眠りにつく。

朝が明け、目が覚める。他の二人ものそのそ起き出す。
車掌がコーヒーを持ってきてくれた。

ブダペストからプラハ 115.jpgブダペストからプラハ 118.jpg

車窓の外は、ルーマニアののどかな田園地帯。コーヒーがうまい。
しばらく列車はひた走り、ブラショフ到着。

ブダペストからプラハ 121.jpgブダペストからプラハ 122.jpg

ブカレストまで行くというルーマニア人コンビとはここでお別れ。
結局、最後まで二人の関係はわからずじまいだった。
約11時間にわたる長い、列車の旅はこうして無事に終わった。

さて、ブラショフ市内へ行きますか。

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