16 ブダペスト・ゼンメルヴァイス医学歴史博物館

2012年8月 ドイツからトルコ横断16

ブダペスト・ゼンメルヴァイス医学歴史博物館

シナゴーグを後にして、本日二つ目の目的地へ向こうことに。
ドナウ川を渡る。昨日使った鎖橋の南側にある別の橋だ。こちらの方がより整備されている。

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それから王宮の南側へ移動して、ゼンメルヴァイス医学歴史博物館を目指す。ブダペスト観光の個人的目玉がここ。

あまり知られていないが、ゼンメルヴァイスという人は、医学史において重要な地位を占める。

19世紀半ば、ゼンメルヴァイスが働いていたウィーンの病院では、産褥熱による妊婦の死亡が相次いでいた。当時の医師たちは、死体解剖の実習をしてから妊婦の分娩を行うのが通例だった。その際、手を洗うこともなく、死体を解剖した手をそのまま使っていた。
これが産褥熱の原因だと考えたゼンメルヴァイスは、石灰水で手を洗うようにした。その結果、産褥熱による死亡は激減した。
だが、ゼンメルヴァイスの主張は当時の医学会ではまったく受け入れられなかった。病原菌やウィルスなど想像もされなかった時代である。しかも、ゼンメルヴァイスの主張が正しいとすると、患者を救うはずの医師自身が患者を殺していたことになる。頑迷な医学会が受け入れるはずがなかった。
その後、ゼンメルヴァイスが生きているうちに、その功績が認められることはなく、不遇のまま生涯を終えることになる。
だが現在においては、院内感染予防の父と呼ばれ、医学史上の偉人とされている。

それにしても、「手を消毒する」という今日では当たり前すぎる行為が発案されたのが、ほんの150年ほど前、広く受け入れられたのがその50年後、ということは、まだ100年ちょっとしか経っていないことになる。驚きである。

こういった歴史的経緯を踏まえて、ゼンメルヴァイス医学史博物館へ。
ここは、ゼンメルヴァイスの生家跡地に建てられている。
かなりローカルな雰囲気で外見は博物館らしくない。普通の民家のようだ。多少迷いながらも何とか到着。

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二階にある受付は老婆が一人ぽつんと座っていた。入場チケットはまさかの手書きだった。写真撮影は別料金。このチケットも手書き。
訪問客はぼく一人。中に入ると、これまた年老いた警備員と一対一だ。

館内は、医学の歴史に関する展示がメイン。

一番初めは、古代の呪術に用いられた道具など。これはさすがに医学とは言えない。

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次が医学の祖と呼ばれるヒポクラテスの像。一応ここからが医学の歴史のスタート地点。

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過去手術で使用されてきた医療器具や書物など。

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現代的観点から言えば、ちょっと厳しいなあという器具が多い。だがこれも歴史の一部。一足飛びに歴史は進まない。
ヨーロッパだけでなく、中国や日本の医学に関する展示も少数ながらあった。

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ゼンメルヴァイスの書斎を復元したスペースもあった。

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興味深い展示が続く。
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受付のおばあちゃんは、あまりに暇なのか、ぼくのそばへ来て解説を買って出てくれた。
ただ、おばあちゃん、英語が今ひとつ。ためしにドイツ語で話しかけると、途端に饒舌になりべらべら話し出した。ごめん、おばあちゃん、おれドイツ語苦手やねん、わからへんわ。と内心思いつつ、おばあちゃんに悪いので適当に相づちを打ってごまかした。

一部の展示物には英語の解説文が張ってある。素直にこちらを読もう。

館内は、それほど広くない。思わず2周してしまった。
ぼくはもともと、中世暗黒時代から近代合理主義への移行や、迷信から科学への変遷といった分野に興味があったので、こういった博物館は打ってつけだった。

個人的にはかなり満足することができた。

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博物館の中庭には、ゼンメルヴァイスの名前と、赤子を抱きかかえた母親の像が建つ。
今日、より安全に出産が行われるようになったのは、ゼンメルヴァイスの功績無くしては語れない。
たとえ不遇のまま生涯を終えようとも、ゼンメルヴァイスの主張は正しかった。どうせなら生きているうちに認めてあげてほしいが、それでもゼンメルヴァイスの名前は後世に語り継がれ、歴史は進んでいくのである。

ゼンメルヴァイスの生涯と業績・ゾラを讃える (1981年) (自家発電叢書)

さて、本日の二大目的地はこれにて制覇。
人間の歴史について考えさせられる一日だった。

ぶらぶら歩いて、宿に戻る。

やるべきことがあった。実は、最終目的地であるトルコのガイドブックを日本に置き忘れてしまったのだ。せっかく買ったのに。まったく我ながら情けない。
まあガイドブック無しでも何とかなるだろうと思うけど、まったく情報無しはさすがに辛い。ヨーロッパの本屋でロンリープラネットのガイドブックなら購入可能だが、高い上に重たい。
そこで、この日本人宿。食堂の本棚には日本のガイドブックがばっちり完備してあった。
宿側が用意したものか、旅行者が置いていったものかは知らないけど、ありがたく読ませて頂く。情報だけ拝借。メモを取っておく。
世の中には不埒な旅行者もいて、欲しいページだけを破いて持ち去る輩が存在する。ここの宿では大丈夫だったが、他の宿では実際にそういうケースに当たったこともある。
そもそも本を置いていった人が必要上破いていた場合もありうるが、おそらくは後の旅行者の狼藉だろう。他人の迷惑を顧みず、前人の行為を踏みにじる、そんな旅行者にはなりたくないものだ。旅の恥はかき捨て、では決してないと思う。

今夜の宿には、自転車でヨーロッパ横断中の夫婦やハンガリーの大学に留学予定の若者らが集っていた。適当な距離感で会話を楽しみ、ブダペスト2日目の夜はふけていった。

おやすみなさい。

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